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参加企業プロフィール

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株式会社 富士海洋土木

>> 企業データ

海と共に歩んで

 株式会社富士海洋土木は、港湾潜水作業全般と潜水技術指導の会社、株式会社富士アクアラングサービスとして1970年(昭和45年)に創立。以来、海と共に歩みながら潜水工事を基盤とした海洋事業を拡大。現在は、港湾土木や水産土木工事を中心に、潜水作業全般、海難救助等、深海をワーキングフィールドに水中作業のプロフェッショナルとして事業展開している。
 また、1989年(平成元年)には、同社の商事部門を独立させ、株式会社オクトパスを設立。潜水機器販売・レンタル、潜水指導、潜水調査事業を担っている。

蓄積した技術を結集

 函館沖は砂地が多く、残念なことに岩場に生息する昆布やアワビ、ウニが育たない環境だ。創業以来、海洋事業を通し函館の海を見つめてきた富士海洋土木では、海に携わる企業として、函館沖の砂地地帯を有効活用し漁場を広げたいと考えていた。そんな中、産学官が連携して函館沖の藻場づくりの方法や構造物等の研究開発に取組む「海藻増養殖技術研究会」が2003年(平成15年)に設立された。ここ数年健康食品として注目され、函館の新たな特産品となりつつあるガゴメ昆布の資源増大を主な目的としたこの会への発足からの参加は自然な流れだった、そう話すのは代表取締役の須田新輔さん。
 参加企業がそれぞれの得意分野を活かしガゴメ昆布を育てようと、蓄積した技術を結集。マリンスパイダーなどの増殖用藻場礁を開発・設置する試験事業を推進中だ。更には、真昆布やガゴメ昆布の生育する藻場をつくることで魚の産卵や稚魚の保護育成の場になればと、可能性も広がっている。

育成したガゴメ昆布の高付加価値化を目指すため

 会では、ガゴメ昆布の増養殖が成果を挙げ、収穫可能な昆布を育てることに成功。同社は、ガゴメ昆布を新たな地域資源として多方面に活用するため、増養殖事業と平行してガゴメ昆布関連商品の開発にも取り組んでいる企業の一つ。ガゴメ昆布特有の粘性多糖類の成分に着目する企業が多い中、同社では、ガゴメ昆布の高付加価値化を目指し、とろみや粘り、旨みといった成分だけでは実感しづらいガゴメ昆布そのものの特徴が感じられ、もっと身近なものなって欲しいと健康食品の商品開発を進めていった。
 開発当初は、ガゴメ昆布のパウダーを混ぜ込んだガゴメ昆布塩を試作。しかし物足りず、ガゴメ昆布が主役でしかも、味もおいしく相応の量を食べられる製品の開発を模索。昔からある昆布茶にヒントを得、2年間の試行錯誤の末、飲み物として、または料理の隠し味やダシとして使われる沖縄の塩をブレンドしたガゴメ昆布パウダーの商品化に成功。「函館がごめ100」として2006年(平成18年)9月に販売を開始。ガゴメ昆布の良さを日常的に気軽に取り入れて欲しいと、飲み物として約1回分の量を携帯し易いスティック状のコンパクトなパッケージにもした。飲みやすい、味が美味しい、ガゴメ昆布らしいとろみが感じられる、健康や美容に良いとされる成分フコイダンが手軽に摂取できると利用者の評判も上々だ。
 現在は、ホームページ上での販売に加え、東京有楽町にある北海道の名産品を扱うアンテナショップ「どさんこプラザ」をはじめ百貨店などで販売中。今後の課題は、商品の認知度を高め、販路を開拓することだと須田社長は話す。

新しい第一次産業のフレームづくりを

 ガゴメ昆布の保護・育成、製品開発は始まったばかり、新たな地域資源として函館市全体でガゴメ昆布をPRすべきと須田社長は言う。様々なカタチでガゴメ昆布の製品化に取り組んでいる企業はあるが、商品化されるのはまだわずか。各社が各々販路を拡大することはもちろんだが、それら商品をまとめて販売するアンテナショップのような施設やスペースを設け、函館のガゴメ昆布のことなら何でも分かる、関連商品は何でも手に入るというような場所を確立するなどの協力体制が必要だと考えているという。
 また、ガゴメ昆布の増養殖事業では漁場の拡大と収穫量の安定化のため、今後も引き続き今まで培った海洋土木のノウハウを提供していきたいと話す。将来的には、ガゴメ昆布養殖の担い手育成への協力も考えているという。例えば、潜水訓練センターを有する同社グループのオクトパスが、潜水指導で海中での養殖作業ができる若手を育成、年配者が陸上で収穫したガゴメ昆布の処理を行うといったガゴメ昆布漁の流れを確立し、ガゴメ昆布だけの生産組合を作る。新しい第一次産業のフレームづくりをすることで漁業後継者不足の歯止めになればと、構想は尽きない。
 海底のプロフェッショナルの富士海洋土木は、海底から海中、そして陸上へと活躍の広げ、今後も地域活性化の様々な取組みを精力的に進めていきたいという。


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