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平成26年度北海道立工業技術センター研究成果発表会開催

5月27日(火)ロワジールホテル函館で工業技術センター研究成果発表会を開催しました。三浦センター長の開会挨拶に続き、企業や大学との共同研究などの成果7題を発表しました。

クルマバソウアイスクリーム、がごめの滴、コンブ加工品の試食、生シイタケ等級判別装置などの試作品や開発事例のパネル展示を行い、来場者の皆様からたくさんの貴重なご意見をいただきました。今後の研究開発の参考とさせていただきます。引き続き開催した交流会でも産学官の参加者が情報交換等を行いました。多くの方々にご参加頂き大変有意義な発表会となりました。

発表演題と発表者は、下記の通りです。

 

1.未利用海藻ダルスに新たな価値  ―商品開発に役立つ特有の食品科学的機能―

  木下康宣(食産業技術支援グループ)

コンブの養殖ロープに自然繁茂する海藻ダルスがあります。これは紅藻に分類され、通常赤紫色を呈していますが、特定の処理を行うと緑色化し、120℃で加熱しても退色しないことを見出しました。この知見を活かした利用方法を提案しました。

2.FISHFC法による迅速細菌検査システムの開発と食の安全保障への応用

  大坪雅史(食産業技術支援グループ)

 結果判定に最低24時間を要する食品の細菌検査の迅速化に取り組んでいます。様々な食品検査に適応可能で最短6時間以内に結果判定な検査システムの商品化に、農林水産省の支援を受けて着手しております。その内容と今後の展開について報告しました。

3.DNA分析によるコンブ類の原産地判別技術の開発と検査キットの製品化に向けた取り組み

 清水健志(食産業技術支援グループ)

 八十川大輔(道総研 食品加工研究センター) 原口浩幸((株)ファスマック)

 原産地判別技術が様々な食品素材で開発され、ブランドの保護に利用されています。地域特産物であるコンブ類のブランドを「守る・育てる」ことを目的に開発した原産地判別技術と技術普及への取り組みをご紹介しました。

4.水中無線技術の研究開発と応用事例~「魚の健康診断」

 村田政隆(ものづくり技術支援グループ)

 水中の無線技術はなかなか進捗しづらい研究開発分野ですが、陸上利用での快適性・利便性を考えれば、今後発展する可能性を秘めています。今回、バイオセンサーによる魚のリアルタイムモニタリングの研究事例を交え、水中無線にかかわる取り組みについて紹介しました。

5.ホタテ貝殻から創製した食品及び医薬品用物理―化学的識別物質

 下野 功(ものづくり技術支援グループ)

 光るホタテの貝殻から創製した素材は、単にカルシウム強化を目的とする健康補助食品用の添加物にとどまらず、偽造を抑止するための識別物質として役立つことが期待されています。

この素材の新たな使い方について提案しました。

6.ドライプロセスによる無機EL用蛍光体への薄膜コーティング

 菅原智明(応用技術支援グループ)

 無機EL用蛍光体の高性能化を実現するため、真空応用のドライプロセスを用い、蛍光体粒子の表面に薄膜をコーティングしました。酸化物、窒化物のスパッタ成膜技術、蛍光体への均一コーティング、薄膜評価について報告しました。 

7.函館発の海洋計測機器「デジタルXBT(投げ込み式水温水深計)」の研究開発

 村田政隆(ものづくり技術支援グループ)、鉄村光太郎((株)エスイーシー)

 1960年代にアメリカで開発されたXBTは、現在の海洋観測に必要不可欠な計測機器ですが、時代とともに深海への対応や高精度化が求められてきました。今回、函館で研究開発が進む時代のニーズを反映した汎用型デジタルXBTについて報告しました。

(写真左)工業技術センターセンター長 三浦汀介

(写真右)発表会の様子

(写真)試食、展示コーナーの様子