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魚類の鮮度(K値)試験方法JASが制定されました

(公財)函館地域産業振興財団が取り組んできた生鮮魚類の化学的鮮度指標「K値」の試験方法が、日本農林規格(JAS)に制定されました。

「鮮度」は、生鮮魚介類の重要な品質指標すが、従来は市場の職人(いわゆる目利き)などが経験をもとに判定する場合が多く、生鮮水産物の科学的な鮮度評価法が求められています。そのような中で、当財団の吉岡研究主幹らの研究グループが魚の科学的な鮮度評価指標である「K値」の測定方法について、日本農林規格(JAS)化に向けた検討をすすめてきました。「K値」は、魚の筋肉に含まれるエネルギー成分であるATP(アデノシン三リン酸)が、死後の時間経過とともに、内因性の酵素により分解される変化を指標化したものです。検討されたK値試験方法は、遠心分離などの処理が不要な簡便な手順で、特殊な装置・器具・試薬も必要としないため、試験機関にとって導入しやすい方法です。また、国際的な手順に従った複数試験室での共同試験が実施されており、測定値のばらつきが十分に小さいなど、その妥当性が確認されています。JAS化で、「(公財)函館地域産業振興財団から、JAS原案を添えてJAS規格を制定すべきとの答申を行い、審議会を経て、農林水産大臣の制定」が認められ、令和4年3月31日に試験方法JASとして制定されました。今後は、魚の高鮮度保持技術の有効性の証明や、K値の簡易分析装置の開発の指標等に利用されることが期待されています。

一般技術研修会「JAS法食品表示について−表示制度と科学的検証技術−」開催

近年、食品業界では原料の名称や産地に関する誤認表示が問題となっており、食品関連事業者は正確な表示が求められています。食品の表示制度についての理 解を深めていただくことを目的に、10月31日、北海道立工業技術センターにおいて、(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)表示監視部の高嶋 康晴氏を講師として「JAS法食品表示について−表示制度と科学的検証技術−」と題した研修会を開催しました。
前半は、生鮮食品や加工食品における表記方法のガイドライン、平成20年4月に義務化となった業者間取引に関する表示制度、農林水産省における食品表示 の監視体制などを解説されました。後半は、FAMICが監視業務の中で実際に使用している遺伝子(DNA)分析や元素分析による食品原料の種や産地の判別 技術を紹介されました。本研修会には食品製造業を中心として35名が参加し、講演終了後に自社製品の表示方法についての質問などがあり、熱心に受講されていました。