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函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。
当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。

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お菓子の王国はっぴーディアーズ
国道沿いに突如現れるお菓子の王国
札幌と函館のちょうど真ん中、長万部の国道5号線沿いにある「お菓子の王国はっぴーディアーズ」。平坦な景色の中に突如現れる、カラフルでインパクトある店舗が特徴的だ。
運営しているのはコサインユニバース株式会社。長万部で身内が長く営んでいた菓子製造販売業を引き継いで2014年に同社を立ち上げた。
今回、取材に応じてくれたのはTwitterの中の人「リアルはっぴーちゃん」。お店の鹿のマスコットキャラクター「はっぴーちゃん」をよりリアルにした姿だそうだ(顔出しNG)。ユーモアのあるTwitterの投稿で注目され、”中の人”を目当てに店を訪れる人もいるほどだが、ご本人は「自分よりお菓子とお店を見てほしい」という。お店も人も実にユニークだ。

セールスマネージャー リアルはっぴーちゃん
←セールスマネージャー
 リアルはっぴーちゃん
「お菓子の王国はっぴーディアーズ」の場所を地図で確認できます。
創立 2014年7月8日
住所 〒049-3512
北海道山越郡長万部町字中ノ沢13-2
TEL 0120-813-191
FAX 01377-2-2374
E-mail info@happy-deers.com
URL https://happy-deers.com
従業員 17名

店舗外観
▲店舗外観

 
廃校を店舗兼工場に
はっぴーディアーズの建物は元「長万部町立中の沢小学校」。手前側が店舗、奥側が工場だ。
校門だった塀にはクスリと笑える手書きのウェルカムメッセージに手作りの看板、駐車場は小学校の校庭だったこともあり、広くて停めやすい。車を降りた瞬間から、はっぴーディアーズオリジナルソングが耳に飛び込んできて、店に入る前からワクワク感を盛り上げてくれる。
前横2カ所ある店舗入り口もそれぞれが手作り。一方はおとぎ話のような赤い扉。もう一方はレンガをアーチ状に積み上げたような造形モルタル式。子どもたちの思い出を残しつつ、みんながはっぴーになれるお菓子工場へのリノベーションを続けている。来店のたびにどこがアップデートされたかチェックするのも楽しそうだ。

正面入り口
▲正面入り口
店舗横入り口
▲店舗横入り口

扉をくぐるとさっそく、カラフルなポップやユニークな陳列にあふれた店内だ。たくさんの商品と賑やかな情報が目に飛び込んでくる。
棚には自社のお菓子だけでなく、様々な商品が所狭しと並んでいる。ここにしかないものを楽しんでもらうため”100km圏内かつスーパー・コンビニ・ドラッグストアで見かけないものかつ面白いもの”を意識しているという。
無料のコーヒースタンドやトッピングができるソフトクリーム売り場もある。場所柄、遠くから来てくれるお客さんが多いので、コーヒーでも飲んで一息ついてほしいというサービスの一つだ。
商品が並ぶ店内の木製棚も手作りだ。元々DIYが得意だったわけではない。初めは大工の息子の友人に手伝ってもらって見様見真似で少しずつ技を盗んだ。その友人が「大工は道具だ」と言うと、なけなしのお金で丸ノコとインパクトドライバーを購入し、今度は友人には頼まず体当たりで始めた。「お菓子屋なのに大工のスキルばかり上がっていきます」と苦笑する。
小学校の校門だった塀
▲小学校の校門だった塀

賑やかな店内
▲賑やかな店内

ソフトクリーム売場と無料ドリンクスタンド
▲ソフトクリーム売場と無料ドリンクスタンド
 
借金で首が回らない状態からのスタート
今の明るく愉快な店舗からは想像しづらいが、はっぴーディアーズ最初の2〜3年はハッピーどころか地獄のような日々だったという。前身の会社には2億近い借金があり、首も回らない状態。
借金は重くのしかかり、従業員ともうまく行かず、原材料の仕入れ先からも取引を止めると言われててんてこまい。もちろん自分たちの給与など出せる状態ではなかった。
 
逃げない!どん底で腹をくくって生まれた気合
今でこそエメラルドグリーンとピンクの外観で目を引く店舗だが、当時はいかにもな公共施設。とてもお菓子屋さんには見えず、改築の業者を頼むお金もなく、屋根もボロボロで雨漏りまでする始末。修理しようにも当然足場などないので、ハシゴをかけて社長が屋根に登り、ペンキでエメラルドグリーンに屋根を塗りはじめた。何から始めればいいかわからないけれど、せめてSNS映えする色にしよう。そんな風に決まった色だった。
仕入れ先からの取り立てが入れ替わり立ち替わり来るような日々。破産して借金を踏み倒されるのではないかと鳴り止まない電話と直接やって来る相手に、

「たった今、社長が屋根に登ってペンキを塗っている。借金を踏み倒して逃げようとしてる奴が屋根に登ってペンキを塗るか!?試行錯誤をして少しでも売上をあげようと今努力をしている最中だ。自分たちが作った借金じゃないが少しでも借金を返して行くので応援してもらいたい!」

と理解してもらうように話したこともあった。 破産して逃げてしまおうかと考えたこともたくさんあったが、もう逃げても何も得をしないところまで来ていた。

「工夫とものすごい努力をして、やるだけやって本当に店がダメになったら、自分たちには本当に商売の才能がなかったと諦めて、その時死のう」

そう決めて腹を括ったら不思議と気合が入り、会社も自然に回ったそうだ。
 
割り切った”営業に行かない”スタイル
自社工場でオリジナルのお菓子を製造しているからには、各所の土産店に卸していそうなものだが、こちらから営業には行かないという。
当初は自社のお菓子を置いてもらおうと、各所の土産店を足で回ったそうだがどこの店でも門前払い。2、3日で見切りをつけ、すぐにこういう商売はやらない、と決めた。
「長万部からガソリン代と時間をかけて営業に回っても、経費だけがかかるし、土産店の厳しい条件や要望に応えることもできない。それでいて自分たちは頭を下げて安く土産店に卸すので、これはやってられないと思いました(笑)。同じ頭を下げるなら、遠くからわざわざお店に来てくれるお客さんに一人でも多く頭を下げて、たくさんサービスして安く販売する方が商売のやりがいを感じる。」

と話す。営業しない分、直接来てくれるお客さんが面白がってくれる店作りに力を注ごうと決め、より店舗のリノベーションに邁進していくことになる。
 
売れるか売れないかはお客さんが教えてくれる
店内の棚には自社や地元の商品だけでなく、ちょっと気になる道外の商品やバラエティに富んだ輸入品などが並ぶ。
最初の頃はお菓子屋という自負もあり、自分たちの作ったお菓子で勝負したくて、それ以外は店に置かなかったそうだが、ある時、問屋さんが高速のSAで売れているからと置いていった珍味を棚に並べてみたところ、社内では怒られたがこれがすこしずつ売れた。なにより、自社のお菓子も一緒に売り上げが伸びた。
「プライドなど不要、売れるものは売る側ではなくお客さんが選ぶ。以前は自分が仕入れを選別していたが、とりあえず店に並べるスタイルになりました。自分たちもお菓子の商売で食べていくのが本当に難しいし苦しいし、大手のコンビニには負ける。でもひとつひとつのお菓子や食品のメーカーさんは、それでたくさんの従業員を養って飯を食って行っているので本当にすごく尊敬しています。そういう事実がもうその商品にはあるので、自分の判断で仕入れるか仕入れないかを決めるのがおこがましいなという考え方になりました。」
売れれば再度入荷し、売れなければ再入荷はしないという明瞭なルールで運営されている。常に商品は入れ替えが激しい。
人気の韓国グッズコーナー
▲人気の韓国グッズコーナー

 
オリジナルのお菓子はぜひ試食を
はっぴーディアーズの人気商品は、北海道銘菓 雪花青(せっかせい)、生チョコとクッキーの間をとったような絶妙なお菓子だ。その他にもパンに塗っても美味しいプリンや、乳酸菌配合の生クッキーなど多くのオリジナル商品を製造している。
すぐ隣の工場で製造したものを直売しているため安価で、ほとんどの自社製品は試食ができる。
「土産業界は箱に詰めて味のわからないものを高く売るところが多い。私も経験がありますが、おいしくないものを買ってしまった時は騙されたと感じるんです。その逆をやりたい。試食をたくさんおいて食べてもらった上で買うかどうかはお客さんに委ねる。」という考えだ。
今回の取材でもお菓子について多くは語られなかった。その代わり、店内にはいつも無料コーヒーとお菓子の試食が切らさず置いてある。
北海道銘菓 雪花青(せっかせい)
▲北海道銘菓 雪花青(せっかせい)

試食はアルコールスプレー常備
▲試食はアルコールスプレー常備

 
値づけは徹底して庶民感覚で
店内ではお菓子のほか、オリジナルグッズも目を引く。面白いのはそれらが一様に一般的なグッズ価格より安いことだ。アーティストのライブグッズみたいな値段になってしまっては通用しない、あくまでも店に来るお客さんたちが手に取りやすい価格にこだわっているという。
販売価格を下げるためGoogle翻訳などを駆使して海外サイトをチェックし、いつも一番値段と条件のつりあう業者に依頼するのでグッズごとに全部業者が違う。中国製が主だがトラブルもほとんどないという。労を惜しまず踏み込んだからこそ実現できる価格だ。
もっとグッズのラインナップを増やしてブランディングして行きたいという。
店舗で流れるオリジナル曲も販売
▲オリジナルグッズ

店舗で流れるオリジナル曲も販売
▲店舗で流れるオリジナル曲も販売

 
考える前に行動する、ここからが勝負。
常に変化するはっぴーディアーズ。飽きられない店作りの秘訣は、考えるよりまず行動することだという。
「北海道だから冬にはどうしても閑散期がやってくる。その時に喚いても遅いから、雪が降る前に頭の中にあることを端から全部やる。 前はたくさんのアイディアの中から一番いい方法を考えて行動していたが、時間を浪費するだけで何も実現しないことの方が多いと感じた。 実際ひとつでも行動すれば、見える景色が変わってきてさらに良いアイディアが生まれることが多いです。 夏場は繁忙期だけど、繁忙期こそやれること全部死ぬほどやって、飽きられない店作りをしていかなきゃと思っています。ここからがやっと勝負です。」
アイデアが無限に湧いてくるというリアルはっぴーちゃん。これからも来店するたびに新鮮な驚きを届けてくれるだろう。はっぴーディアーズは勇気と希望が詰まった店だ。