頑張っている企業HP

函館・道南では、地元の資源やオリジナルな技術を活用したユニークな企業が数多く活躍しています。
当ホームページでは、それらの企業を取材し、広く全国に向けて発信しています。

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有限会社 渋田産業
きのこ生産に至るまでの経緯
代表取締役 大久保由紀子さん↑代表取締役 渋田 博文さん
渋田産業は、小売業、生産業、製造業など幅広い業務をこれまで行ってきた。
創業当初は、漁網の下請け業者であったが、魚の乱獲禁止などにより水産業が打撃を受け、業務を続けることが困難に。そこで、漁業関係者との繋がりを活かし、水産業者向けにスルメイカの袋や段ボールなどを販売する水産資材小売業へと転向した。
しかし、水産業者の原料となる魚の増減がそのまま売上に響いてしまうため、新しい事業に取り組むことに。次は資材関係の繋がりから、農業資材の小売業者へ転向した。だが、顧客の高齢化により年々仕事が減少。そこで新たにきのこの生産に着手したという。先代の「生き物を育ててみたい」という一言が、きのこの生産を始めたきっかけだ。その頃は日本で舞茸の人工栽培が確立し、「雪国まいたけ」などのきのこブランドが頭角を現していた時期でもある。鮮度が落ちやすいきのこだが、舞茸はきのこの中でも比較的日持ちする種類だという。地元の仲間と組合を作りいち早く舞茸の栽培に着手した。
農水産資材の業務と並行しておこなわれた、きのこの生産業務。当初、きのこ生産業は会社の業務の中で3割程度であったが、2022年春に小売業務を譲渡し、きのこの生産・製造販売業務のみとなった。
「有限会社 渋田産業」の場所を地図で確認できます。
創立 1970年
代表者 代表取締役 渋田 博文
住所 〒043-1117
北海道桧山郡厚沢部町字美和1268-6
TEL (0139)52-3960
FAX (0139)52-5548
URL http://www.ezomaitake.com/
従業員 15名
資本金 1,000万円


えぞまいたけ

▲えぞまいたけ

 
「苦肉の策」が、閑散期を救う鍵に
元々舞茸は高値で取引され、利益率も良かったという。きのこ生産業は、閑散期と繁忙期の差が激しく、9月から11月頃までが一番忙しい時期となる。生産自体は夏でも可能だが、注文数が繁忙期に比べ大幅に減少してしまう。
そこで2022年の夏に取り組んだのが、冷凍舞茸の製造だ。その年の秋にドン・キホーテで販売される惣菜に渋田産業の舞茸を使用したのだ。元々、生の舞茸を使用したいという要望だったが、秋は繁忙期ということもあり最初は断わり、苦肉の策として冷凍舞茸を提案。結果、冷凍舞茸は天ぷらとして、問題なく販売することができた。
夏場はきのこの注文数が少ないため、叩き売りをして販売するほかなかったとのこと。苦肉の策で提案した冷凍舞茸は、繁忙期である秋場の販売価格と変わらず納品することができたという。
明るい店内に並ぶ粉末だし

▲粉末だし かつおと昆布とえぞまいたけ

 
アレンジの幅が広がる「乾燥きのこ」
たとえ繁忙期であっても生のきのこだけでは、売上が不安定になってしまうという。以前に比べきのこの市場価格が低下しており、「生きのこ」のみの販売では売上を維持することが難しい。
そのため、「乾燥きのこ」の製造に取り組んだ。自社工場で乾燥させ袋に詰める。鮮度が落ちやすいきのこの長期保存が可能になるだけでなく、乾燥させることで食感が良くなり、きのこの細胞が破壊され水戻しした時に旨味成分も出やすくなるという。炊き込みご飯や味噌汁、インスタントラーメンに入れるなど多彩なアレンジを楽しむことができる。
小売業者から生産者に、そして今は製造業としてもなお進化を続ける渋田産業。それでも、今後の展開については日々不安をいだいているという。
色とりどりのレシピ

▲「乾燥きのこ」の多彩なレシピも楽しい

 
地方で産業を続ける覚悟
避けることのできない人口減少。移住促進などの誘致活動に多くの自治体が積極的に取り組んでいる。厚沢部町もそれは同じことで、渋田さんは人口減少が進んでいる地域での事業のあり方を日々考えている。
物価の高騰により、資材も値上がりしているのが現状。その中で利益を出すためには、少ない人数で今まで以上に付加価値をつけた仕事を行うことが大切だと語る。
「取り入れられるものはどんどん取り入れていきたい」と語る渋田さん。今は積極的なDX化に取り組んでいるという。農業分野でAIを活用する「スマート農業」が盛んだが、きのこの分野でAIが活躍することを期待している。継続して事業を続けていくためには、少ないコストで生産性を上げることが大切と語った。
直売店の中の様子

▲直売店は国道227号沿い

 
変わらない社名「渋田産業」
これまで、渋田産業は時代に合わせて業態を変え進化してきた。世の中の流れを見つめ、今後を見据え、経営の多角化を図ってきたのである。今後を考え、生産業が主である今でも「渋田産業」の社名は変わらない。柔軟に世の中に対応する力は、地方で産業を営む人たちだけでなく、どこの企業にも通用するものだ。