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令和3年度導入機器の紹介

【機器名】電界放射型走査電子顕微鏡

【型 式】TESCAN社 TESCAN CLARA LMH

【用 途】金属やプラスチックなどの表面を高倍率で観察する装置。表面観察と同時に元素分析も可能。金属・無機材料、電子部品、機械部品に関する研究開発、製造技術開発などに利用できる。

 

 

【機器名】動ひずみ測定システム

【型 式】(株)共和電業 DPM-612B

【用 途】機械等に作用する応力等の測定において、ひずみゲージや各種センサ等の信号を高速かつ高精度に測定する機器。

 

 

【機器名】台ばかり

【型 式】(株)エー・アンド・ディ GP61K

【用 途】物体の重量を計測する測定器。最大ひょう量は61kgで、防塵・防水性を有する。

 

 

 

【機器名】食品用バンドソー

【型 式】(株)中島製作所 NSO-N8B

【用 途】帯状の鋸刃を高速で回転させて食品素材を迅速に切断する装置。主に冷凍肉や冷凍水産物の切断に用いる。

 

 

【機器名】バイオメディカルフリーザー

【型 式】PHC(株) MDF-MU549DH

【用 途】試薬や試料の品質の劣化を抑制するために、低温下(冷凍-40~-20℃)にて保管するためのフリーザー。上下室を独立して温度制御が出来る。

 

 

【機器名】送風定温恒湿器

【型 式】ヤマト科学(株)DKN402

【用 途】測定試料の乾燥などに用いる恒温器。乾燥室は90Lサイズで、室温+10〜250℃でプログラム運転が可能。

 

 

【機器名】マイクロ分析天びん

【型 式】METTLER TOLEDO社 Balance XPR56V

【用 途】サンプルの重量を高精度(最小単位1μg=0.000001g)で計測する装置。熱分析など計量を必要とする分析の精度向上に利用できる。

 

 

【機器名】自動研磨機

【型 式】ビューラー社 オートメット250プロ

【用 途】主に金属やセラミックス等の無機材料、電子部品(チップやバンプ部)、小型機械部品などについて、顕微鏡観察用試料を研磨するための装置。研究開発、技術指導、依頼試験等に使用。

 

 

機器名】分光測色計

【型 式】コニカミノルタジャパン(株)CM-5

【用 途】食品等の色調を測定して特性を解析する装置。製品開発や品質管理を行う上で不可欠の装置で、色調劣化の少ない加工技術の開発や賞味期限の設定等に使用する。

 

 

 

 

【機器名】薬用保冷庫

【型 式】PHC(株) MPR-N450FH-PJ

【用 途】試薬や試料を低温で保管するためのフリーザー付き薬用保冷庫。保冷庫部(2~14℃)とフリーザー部(-30~-20℃)を一台に集約している。

 

 

【機器名】純水製造装置

【型 式】オルガノ(株)ピュアライトPRA-0015-OV1

【用 途】水道水(市水)を原水として脱塩処理を行い、紫外線ランプ付きで電気伝導率:1μS/cm以下の実験用純水を製造できる。

 

 

【機器名】DNA増幅装置

【型 式】サーモフィッシャサイエンティフィック社 PROFLEX3x32-S5

【用 途】DNAを増幅するPCR手法を行うために使用する装置。独立制御可能な3つのサンプルブロックを搭載し、温度等の条件が異なるPCRを同時に行うことができる。生物種の同定等でDNAの塩基配列を分析するために利用する。

 

 

【機器名】超低温フリーザー

【型 式】(株)EBAC UD-90L376WNF

【用 途】分析試料等を超低温(-85℃)で保管する装置。脂質の酸化を抑制する等、生化学的性状を維持することが必要な試料等の保管に用いる。

 

令和4年度事業計画から

北海道立工業技術センターでは、地域企業の技術の高度化や新製品の開発を支援するため、研究開発、試験分析、技術相談、研修、技術情報提供、広報、シーズ活用支援事業などの事業を行っています。今回は、令和4年度実施予定の事業計画の中から研究開発事業のテーマをご紹介します。

 

研究開発事業(高度技術開発・応用研究事業)

 

北海道・函館市・北斗市・七飯町の補助を受け実施する研究開発事業は、地域企業の技術の高度化、新製品の起業化及び地域ニーズに即応した先端技術分野における応用技術の研究開発を推進することを目的としており、研究開発期間は、2~3年を目途としています。

 

テーマ:地域産業のロボティクス最適化モデルに関する調査研究

分  野:ものづくり技術支援グループ

実施年度:令和2年度~令和4年度

概  要:地域の製造業におけるロボット導入の促進と生産性向上やロボット産業参入企業の技術力向上を目的とし、ロボット導入後の負担軽減改善に寄与する検討手順や指標等の最適化について、ハンドリング技術を事例にした調査及び実験的検証を行う。

 

 

テーマ:画像処理技術を用いた生産情報のデジタル化手法に関する技術研究

分  野:ものづくり技術支援グループ

実施年度:令和4年度~令和6年度

概  要:製品の付加価値や生産効率の向上などの取り組みに重要な生産情報のデジタル化の推進を目的とし、地域企業でも取り組みやすい様に、最小限の機器導入で実現可能な画像処理技術を用いたデジタル化手法について技術開発を行う。

 

 

テーマ:成膜技術を応用した焼結用黒鉛型の導電性制御に関する研究

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:令和4年度~令和6年度

概  要:真空装置関連技術であるCVD(化学蒸着法)やALD(原子堆積法)のような成膜技術を用いて、黒鉛型内部に導体/不導体膜を形成することで黒鉛型の導電性を制御し、緻密で均質な高機能焼結体作製技術の開発を行う。

 

 

テーマ:食関連材料の高度冷凍技術に関する研究開発

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:令和2年度~令和4年度

概  要:地域資源である水産物の最適凍結手法の確立や水産加工品の品質保持、長期保存安定性確保による付加価値向上を目的とし、急速凍結と通常の緩慢凍結に関する凍結機構や凍結装置の現状、凍結評価方法を調査し、モデル食材での凍結及び解凍について検討するなど、総合的な評価を行う。

 

 

テーマ:スパッタ成膜技術に関する研究

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:令和3年度~令和5年度

概  要:半導体材料などに用いる真空下でのスパッタ技術について、酸化物、窒化物等の薄膜成膜条件の検討を行い、成膜条件と薄膜構造及び光学的電気的特性との関連性を評価し、スパッタ薄膜の特性向上を図ると共に、函館地域の電子部品や光学部品を製造する企業への応用展開についても検討する。

 

 

テーマ:地域海藻素材の高度加工技術に関する研究開発

分  野:応用技術支援グループ

実施年度:令和2年度~令和4年度

概  要:函館真昆布のだし抽出特性を向上させる保管条件や加工技術の指標構築を目的とし、工業的なだし抽出における品質ニーズや抽出条件の整理、評価のための抽出条件や評価方法の検討、長期保管昆布のだし品質変化の評価、異なる昆布種や風味加工条件の違いによる抽出だし特性変化の評価を行う。

 

 

テーマ:地域新規多獲性魚種の利用加工に関する研究開発

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:令和4年度~令和6年度

概  要: 北海道で漁獲されるブリ等の新規多獲性魚種について、「加工利用特性の把握」、「下処理による品質改善効果の検証」、「調味による臭いの低減と旨味の増加効果等の検証」などを行い、官能的評価に加えて成分分析による科学的根拠を示すことにより、新規多獲性魚種の利用促進を図る。

 

 

テーマ:地域食品素材の機能性活用に向けた研究開発

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:令和2年度~令和4年度

概  要:地域食品企業のヘルシーDo等の認定を目指し、コンブやアカモクに含まれるフコキサンチンの抗肥満作用等を活用するため、収穫地域や時期等による含量の違いを調査し、原材料の一次加工方法の検討や、加熱、乾燥、粉砕等の基本的な加工工程による成分量の変化の研究などの基礎的な知見を集積する。

 

 

テーマ:地域資源に特異なDNA塩基配列の探索・利用技術の開発研究

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:令和2年度~令和4年度

概  要:当センターが開発した、函館産マコンブを海外産と識別するDNA分析技術について、地域資源であるダルスをモデルにDNAを抽出し、塩基配列の解読や他地域産との比較解析により地域資源に特異な(他とは異なる)塩基配列を探索し、産地識別等が可能なDNA分析技術の開発を検討する。

 

 

テーマ:凍結技術を活用した道産海藻資源の高価値化に関する研究開発

分  野:食産業技術支援グループ

実施年度:令和3年度~令和5年度

概  要:凍結技術を活用した昆布の高価値化を目的に、凍結条件による呈味成分保持効果のある粘性物質の産生量変化など、凍結条件が地域海藻資源の品質に及ぼす影響を詳細に検討し、新たな優位性の高い独自技術の開発を進め、その普及啓発を図る。

 

ヘルシーDo認定商品 韃靼生そば「千乃韃靼」の開発

北海道立工業技術センターは、(有)大中山ふでむら、藤女子大学、札幌保健医療大学と連係し、韃靼そばの健康機能性を明らかに、ヘルシーDo認定商品 韃靼生そば「千乃韃靼」の開発を行いました。韃靼そばの茹麺は、摂食によるヒト血糖値上昇抑制作用があります。この血糖値上昇抑制作用は、ケルセチンとルチンによる消化管内におけるα-グルコシダーゼ 阻害作用に起因し、摂食試料の糖質の消化・腸管からの吸収が阻害され、血糖値の上昇が抑制されます。これらのことより、ダッタンソバ茹麺に糖尿病予防効果が期待されます。当センターの大坪専門研究員らの研究グループは、これらの成果をまとめ、日本補完代替栄養医療学会誌の研究論文(査読付き学術論文)で研究報告を行いました。(有)大中山ふでむらはこの成果を活用して、「千乃韃靼」を商品開発し、令和4年3月、道よりヘルシーDoの認定を受けました。本製品は北海道産韃靼そば粉として「満天きらり」を用い、1日の摂食目安量(茹麺182g)あたりケルセチン399㎎、ルチン132mgを含むことを特長とします。

魚類の鮮度(K値)試験方法JASが制定されました

(公財)函館地域産業振興財団が取り組んできた生鮮魚類の化学的鮮度指標「K値」の試験方法が、日本農林規格(JAS)に制定されました。

「鮮度」は、生鮮魚介類の重要な品質指標すが、従来は市場の職人(いわゆる目利き)などが経験をもとに判定する場合が多く、生鮮水産物の科学的な鮮度評価法が求められています。そのような中で、当財団の吉岡研究主幹らの研究グループが魚の科学的な鮮度評価指標である「K値」の測定方法について、日本農林規格(JAS)化に向けた検討をすすめてきました。「K値」は、魚の筋肉に含まれるエネルギー成分であるATP(アデノシン三リン酸)が、死後の時間経過とともに、内因性の酵素により分解される変化を指標化したものです。検討されたK値試験方法は、遠心分離などの処理が不要な簡便な手順で、特殊な装置・器具・試薬も必要としないため、試験機関にとって導入しやすい方法です。また、国際的な手順に従った複数試験室での共同試験が実施されており、測定値のばらつきが十分に小さいなど、その妥当性が確認されています。JAS化で、「(公財)函館地域産業振興財団から、JAS原案を添えてJAS規格を制定すべきとの答申を行い、審議会を経て、農林水産大臣の制定」が認められ、令和4年3月31日に試験方法JASとして制定されました。今後は、魚の高鮮度保持技術の有効性の証明や、K値の簡易分析装置の開発の指標等に利用されることが期待されています。

2022年度北海道立工業技術センター研究成果発表会開催

日 時:2022年5月26日(木)13:30~17:00

場 所:フォーポイントバイシェラトン函館

You Tube配信

 

5月26日(木)にフォーポイントバイシェラトン函館において工業技術センター研究成果発表会を開催しました。安井センター長の開催挨拶に続き、企業や大学との共同研究などの成果7題を発表しました。また、You Tubeでも配信し、多くの皆様にご視聴頂きました。

 

* * * * * 研究成果発表会プログラム * * * * *

 

1.ケルセチンとルチンを機能性成分とするヘルシーDo認定ダッタンソバ商品「千乃韃靼」の開発

○大坪雅史(食産業技術支援グループ)

(有)大中山ふでむらと共同で平成14年度北海道新技術・新製品開発賞奨励賞を受賞した賞味期限5日間のダッタンソバ麺を改良して、その機能性を解明し令和4年3月ヘルシーDo認定商品の開発に至った経緯を紹介しました。

 

2.生鮮昆布から調製したエキスの品質特性に関する研究

○木下康宣(食産業技術支援グループ)

芳醇な旨味を有する乾燥昆布は古くよりダシ素材の一つとして利用されてきたが、乾燥作業の負荷が大きく生産量が減少している。本発表では、生鮮昆布から得たエキスの呈味特性等について報告しました。

 

3.生鮮水産物の鮮度測定法の標準化と高鮮度輸送技術の開発

○吉岡武也(食産業技術支援グループ)

生鮮水産物の鮮度の良さを科学的に示すための鮮度(K値)測定法の日本農林規格(JAS)制定の取り組みと、北海道産生鮮水産物を高鮮度で海外に輸送する技術開発を紹介しました。

 

4.函館産ブリの品質保持に関する研究

○緒方由美(食産業技術支援グループ)

渡島管内でブリの漁獲量が急増しているが、函館産ブリの特性の知見が少なく積極的な利用が進んでいない。函館産ブリの価値の向上と利用促進のため、水揚げ後の処理や保管温度がブリの品質に及ぼす影響について検討結果を報告しました。

 

5.太陽追尾システム駆動用水素吸蔵合金アクチュエータの動作特性

○松村一弘(ものづくり技術支援グループ)

太陽光から得た温度差で水素吸蔵合金アクチュエータが太陽追尾システムを駆動することをフィールドで実証している。このアクチュエータの日射量から駆動力を得るまでの動作特性を調べた室内実験結果について報告しました。

 

6.洋上風力発電からの水中音と魚類行動の関連性検証~基本測定機器等で構成した水中音圧測定~

○村田政隆(ものづくり技術支援グループ)

脱炭素社会の実現のため洋上風力発電への期待が高まっているが、施設から放射される水中音が魚類に与える影響の検証等は十分とは言い難い。基本測定機器を用いた水中低周波音測定と魚類行動に関する検証実験の結果を報告しました。

 

7.高純度石英ガラス焼結における脱ガス効果の検証

○髙橋志郎(応用技術支援グループ)、〇中野双葉((株)菅製作所)

(株)菅製作所が開発した新型放電プラズマ焼結機(AGUS SPS2000)を使用し、高純度石英ガラスの焼結試験を行った。試験の結果から、焼結中に発生する昇温脱離ガスや反応性ガスを除去できることを検証したので報告しました。

(写真左)研究成果発表会の様子(写真右)ポスター展示場の様子